コーティング事業

レアコーティング

レアコーティング®D(ダイヤ)

製品概要

ダイヤモンド粉末(絶縁体)を、CVD法によって、導電性のあるダイヤモンド(ボロンドープダイヤモンド=BDD)を作ることができます。そのBDD粉末を当社のコーティング溶液に混ぜ、さらに独自の手法・機械でコーティングすることによって、導電性基材へのコーティングを可能にします。
このコーティング溶液・手法の総称が「レアコーティング® D(ダイヤ)」です。製作した電極は「塗布型 BDD 電極」と呼び、従来の電極にはない優位性を持つ電極となります。現在、製品化に向けて東京理科大学理工学部先端化学科の近藤准教授と共同研究開発を進めております。

レアコーティングD-概要

補足:ボロンドープダイヤモンドとは

ダイヤモンドは世の中に存在する物質の中で最高の硬度を有し、化学的安定性も優れた物質ですが、絶縁体です。しかしながら、CVD 法というダイヤモンド合成技術を活用することによって、ダイヤモンドの一部をホウ素に置き換え、ダイヤモンドの導電性を高めることが可能です。このように分子をホウ素に置き換える技術を「ボロンドープ(ボロン=ホウ素、ドープ=置き換える)」と呼び、一部の炭素がボロンドープすることによって生まれる導電性を有したダイヤモンドを「ボロンドープダイヤモンド (BDD)」といいます。ドープ濃度が低ければ、そのダイヤモンドは絶縁体ですが、ドープ濃度に応じて半導体→導電体と変化していき、おおよそ3%程度の高濃度ドープ率になると極低温で超電導性質を示すことも報告されております。

BDD電極の特長

BDD 電極の主な特長は、以下の5つです。

① 広い電位窓を持つ

陽極・陰極どちらに用いても他の電極材料では得られない特異な酸化・還元反応が可能です。つまり、酸素発生過電圧と水素発生過電圧が高いのです。

② 物理的・化学的に安定

ダイヤモンド自体が高硬度・高耐食性物質のため、汚れが激しい環境や強酸・強アルカリ・有機溶媒中であっても長期間安定して使用可能です。

③ 小さなバックグラウンド電流

BDD電極は、シグナル/バックグラウンド比が大きいため、電気化学分析における高感度センサとして使用することができます。

④ 脱色処理

BDD 電極は、染色工場からの染色排水や牧場からの畜産排水などの着色排水にも大変有効です。従来の排水処理で用いられている生物学的手法である「活性汚泥法」や物理化学的手法である「凝集沈殿法」では色素成分の除去が不十分であるため、現状、着色された状態で自然界に放出されています。

⑤ 窒素系汚染物質の処理にも有効

廃水中の汚染物質の中でもアンモニア性、硝酸性の2種の形態をとり、比較的困難である窒素系汚染物質の処理をするのにも大いに有効です。陽極で発生された塩素がアンモニアを分解し、陰極で硝酸がアンモニアに還元されるためです。

当社が現在目指している製品は、水処理施設(浄水場及び下水処理場)において、圧倒的な性能効率で汚水処理を可能にする「大面積塗布型導電性ボロンドープダイヤモンド(BDD)電極」です。機能性の高い電極材料として、ダイヤモンドを扱う研究例が少ないばかりではなく、強烈な密着性と通電機能を有し、対象物の形状や大きさに制限がないため、従来にない全く新しい電極作製が可能となります。